
神秘の輝き:天然真珠の魅力
天然真珠とは、人の手が加わっていない、自然の営みの中で生まれた奇跡の宝石です。海や川などの水の中で暮らす貝の中に、偶然砂粒や小さな生き物などの異物が入り込むことがあります。貝にとって異物は刺激物であり、体を守るため、貝は異物を滑らかに包み込もうとします。その際に、貝は炭酸カルシウムを分泌し始めます。この炭酸カルシウムが、異物の周りに幾重にも積み重なり、真珠層と呼ばれる層を形成していくのです。
真珠層は、コンキオリンと呼ばれるタンパク質を接着剤として、薄い板状の結晶がレンガのように積み重なった構造をしています。この緻密な構造が、真珠特有の虹色の輝き「オリエント効果」を生み出します。真珠層が厚く、きめ細かいほど、輝きも増し、価値が高まります。天然真珠が形成されるまでには、数年から数十年という長い歳月が必要です。自然の偶然と、貝の生命力によって生み出された、まさに自然の芸術作品と言えるでしょう。
養殖真珠のように、人の手で核を挿入するのではなく、天然真珠は核となる異物が偶然入り込むことで形成されます。そのため、形は真円とは限らず、いびつな形のものも多く存在します。また、大きさも様々で、米粒ほどの小さなものから、鳩の卵ほどの大きなものまであります。このように、一つとして同じ形、同じ大きさのないことも、天然真珠の魅力の一つと言えるでしょう。古来より、その希少性と美しさから、世界中で権力や富の象徴として、また神秘的な力を持つものとして珍重されてきました。現代においても、その価値は非常に高く、コレクター垂涎の的となっています。