オールドマインカット

記事数:(1)

デザイン

アンティークの魅力:オールドマインカット

古い鉱山採掘、つまり「オールドマインカット」は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて多くの人々に愛されたダイヤモンドの加工方法です。現代のきらびやかなカットの元祖とも言われ、古い時代の宝飾品に見られる独特の趣が特徴です。「オールドマイン」という名前の由来は、初期のダイヤモンド鉱山で掘り出された原石をカットしたことに由来すると考えられています。当時のダイヤモンド研磨の技術は現代ほど進んでいなかったため、全て人の手によって研磨されていました。そのため、現代のカットと比べると、より丸みを帯びた形で、全体的に重厚な印象を与えます。機械による均一なカットとは違い、一つ一つに個性があり、温かみのある光を放ちます。 オールドマインカットは、58面体で構成されており、正方形または長方形の輪郭をしています。現代のカットに比べて面が小さく、数が少ないため、きらびやかさという点では劣るかもしれません。しかし、その控えめな輝きは、上品で落ち着いた雰囲気を醸し出し、アンティークジュエリー愛好家を魅了してやみません。現代のカットのように光を最大限に反射させることを目的とするのではなく、原石の持ち味を最大限に活かすことに重点が置かれていたと考えられます。人の手によって丁寧に研磨されたことで生まれる、わずかな非対称性や表面の微妙な凹凸も、一つ一つの石に個性を与え、独特の温かみを生み出しています。まさに、歴史の重みと職人の技が融合した、時代を超えた魅力を秘めたカットと言えるでしょう。現代の大量生産とは一線を画す、手作業が生み出す温もりと、時を経た風格は、現代においても高い価値を認められています。