
カリナンダイヤモンド:世界最大のダイヤモンド
1905年1月26日、南アフリカのプレトリア近郊にあるカリナン鉱山で、歴史に残る大発見がありました。それは、これまで人類が目にしたことのない、とてつもなく大きなダイヤモンド原石でした。その重さは、なんと3106.75カラット。カラットとは宝石の重さを表す単位で、1カラットは0.2グラムに相当します。つまり、このダイヤモンドは621グラム以上もの重さがあったのです。まさに規格外の大きさで、発見された当初はダイヤモンドではなく、大きな氷の塊ではないかと疑われたほどでした。
この巨大な原石は、鉱山会長であるトーマス・カリナン氏の名にちなんで、「カリナンダイヤモンド」と名付けられました。その外観は、青みがかった白色で、吸い込まれるような透明度を誇っていました。巨大な原石の内部には、大小さまざまな包有物が含まれていましたが、それもまたこのダイヤモンドの個性と言えるでしょう。まるで悠久の時を経て地球が生み出した、神秘的な芸術作品のようでした。
カリナンダイヤモンドの発見は、世界中に大きな衝撃を与えました。当時の新聞はこぞってこの大発見を報じ、人々は宝石の王と称されるダイヤモンドの、新たな可能性に心を躍らせました。後に、この巨大な原石は9つの大きなダイヤモンドと、96個の小さなダイヤモンドにカットされました。中でも最大の「カリナンⅠ」は、530.2カラットの大粒ダイヤモンドとして、現在イギリス王室の王笏に飾られています。カリナンダイヤモンドの発見は、ダイヤモンドの歴史における金字塔であり、20世紀初頭の宝石界を席巻した、まさに世紀の大発見だったと言えるでしょう。