スカラベ

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スカラベ:古代エジプトの再生の象徴

古代エジプトにおいて、太陽神であるケプリ神の化身として崇められていたのが、スカラベと呼ばれる甲虫です。現代の糞ころがしと姿形がよく似ており、その生態もまた糞を丸めて球状にするなど共通点が多くあります。 人々がスカラベを神聖視したのは、その習性が太陽の運行と結び付けられたためです。朝に昇り、夕に沈む太陽と同じように、糞を丸めて転がすスカラベの姿は、古代エジプトの人々にとって、生命の創造と循環、そして再生と復活の象徴と映りました。丸い形もまた、太陽を彷彿とさせるものでした。 スカラベは単なる虫ではなく、人々の生活に深く根付いた信仰の対象でした。そのため、スカラベをかたどった護符や装飾品は広く普及し、古代エジプト文化において重要な役割を担いました。人々はスカラベを身に着けることで、再生と復活の力にあやかろうとしたのです。また、ミイラと共に墓に副葬されたスカラベの像は、死者の復活を願う気持ちの表れでした。あの世においても太陽の運行のように、絶えることなく生命が繰り返されるようにとの願いが込められていたのです。このように、スカラベは古代エジプトの人々にとって、太陽と生命の永遠性を象徴する、特別な存在だったのです。