基準 マスターストーン:ダイヤモンドの色の基準
宝石の鑑定において、色の評価は非常に重要です。色のわずかな違いが、宝石の価値に大きく影響を与えることがあるからです。特に、ダイヤモンドのような高価な宝石の場合、色の等級は厳密に定められています。しかし、ダイヤモンドの色の評価は、人間の目による判断に頼る部分が大きく、完全に客観的な評価を行うことは難しいと言えるでしょう。そこで登場するのが「マスターストーン」です。マスターストーンとは、他のダイヤモンドの色を評価するための基準となる、色のサンプルとなるダイヤモンドのセットのことです。マスターストーンは、色の評価を行う際の基準となるため、非常に高い精度で色が管理されています。まるで、色の見本帳のように、様々な色の等級のダイヤモンドがセットになっており、鑑定士はこれらのマスターストーンと評価対象のダイヤモンドを比較することで、色の等級を決定します。この比較は、特別な照明の下、白い背景の上で行われます。周囲の光や背景の色がダイヤモンドの色に影響を与えないよう、環境を統一することで、より正確な色の評価が可能となります。ダイヤモンドの輝きは、周囲の環境に影響されやすい繊細なものです。そのため、鑑定環境を一定に保つことが、正確な評価には不可欠です。マスターストーンとして使用されるダイヤモンドは、厳しい基準をクリアしたものだけになります。まず、透明度が高く、内部に不純物が少ないことが求められます。不純物があると、ダイヤモンド本来の色が正しく評価できないからです。また、重さも一定の範囲内に収まっている必要があります。小さすぎると色の違いが分かりにくく、大きすぎると取り扱いが難しくなるからです。さらに、マスターストーンの色は、国際的に認められたグレーディングスケールに基づいて厳密に定められています。これらの厳しい条件を満たすダイヤモンドだけが、マスターストーンとして認められ、色の基準としての役割を果たすことができるのです。このように、マスターストーンは、ダイヤモンドの色の評価において、なくてはならない存在と言えるでしょう。
