
情熱を秘めた紅玉:ルビーの魅力
古くから人々を魅了してきた、ルビーの燃えるような赤色。その色の秘密は、ルビーの中に含まれるごく少量の『クロム』という成分にあります。クロムは、金属の一種で、ルビーの美しい赤色の発色に欠かせない大切な役割を担っています。
ルビーの赤色の濃さは、このクロムの量によって左右されます。クロムの量が多いほど、色はより濃く、深い赤色を帯びてきます。クロムがたっぷり含まれて、その量が1%にもなると、ルビーは誰もが息を呑むような、濃い赤色に輝きます。この深い赤色は、まさに燃える炎を思わせ、情熱や生命力を象徴する色として、大切にされてきました。
反対に、クロムの量がほんの少し、例えば0.1%程度しかない場合は、淡く優しい赤色になります。この淡い赤色の石は『ピンクサファイア』と呼ばれています。驚くべきことに、ルビーとサファイアは、元をたどれば同じ種類の鉱物なのです。『コランダム』と呼ばれるこの鉱物は、含まれる微量な成分の違いによって、様々な色合いを見せます。ルビーとサファイアの違いは、まさにこのクロムの量の差によるものなのです。クロムが多く含まれるとルビー、少なければピンクサファイアと呼ばれ、同じ鉱物でありながら、異なる名前で呼ばれるという、不思議な関係を持っているのです。
ルビーは、その美しい色の他に、高い硬度も特徴です。宝石の中で最も硬いダイヤモンドに次ぐ硬さを誇り、傷つきにくく、耐久性に優れているため、永く大切に受け継がれる宝石として愛されています。力強い赤色の輝きと、変わらぬ美しさを保つ強さを兼ね備えたルビーは、まさに宝石の女王と呼ぶにふさわしい存在と言えるでしょう。