
マベパール:半円の神秘
真珠といえば、一般的には貝の体内で育つ丸い玉を思い浮かべますが、実は貝殻の内側に張り付くようにして育つ真珠もあります。それが、今回ご紹介する「付け真珠」です。付け真珠は、貝殻に直接くっついて成長するため、貝殻から切り離す作業が必要になります。この点が、一般的な真珠の養殖とは大きく異なる点で、その後の加工方法にも影響を与えます。
では、一体どのようにして付け真珠は生まれるのでしょうか。真珠ができる仕組みは、貝の中に異物が入ると、貝はその異物を核として炭酸カルシウムを分泌し始め、それが何層にも重なることで真珠層が形成されるというものです。付け真珠の場合、この異物が貝殻の内側に付着します。すると、貝は異物を覆うように真珠層を分泌し始め、貝殻に沿ってドーム状に成長していきます。そのため、付け真珠は一般的な真珠のような丸い形ではなく、半球のような、裏側が平らな形になるのです。
養殖を行う人は、この付け真珠のでき方をよく理解しています。付け真珠は、平らな面を貝殻から切り離した後、様々な加工が施されます。そのままの形を生かして宝飾品にしたり、平らな部分を樹脂などで覆って丸い真珠のように仕立てたりすることもあります。このように、付け真珠は、その独特の形を活かして、様々な宝飾品作りに役立てられているのです。