
四角く輝く宝石の魅力
四角く整えられた宝石の輝き、正方形カット。その歴史は古く、思いがけないことに長方形で知られるエメラルドカットと深く結びついています。エメラルドカットは、その名の通り緑柱石(エメラルド)を美しく見せるために生み出されたカットです。もろいエメラルドを欠けにくくするために、角を切り落とした長方形に仕立てられます。この角を切り落とす技法が、正方形カットの始まりと言われています。角を落としていくうちに、次第に正方形に近い形が作られるようになったのです。宝石を美しく輝かせるための工夫が、思いがけず新たな形を生み出したと言えるでしょう。時代が進むにつれ、石を研磨する技術も大きく進歩しました。今では、正方形カットは単なるエメラルドカットの派生形ではなく、独自の進化を遂げています。代表的なものとして、プリンセスカットとアッシャーカットが挙げられます。プリンセスカットは、正方形の輪郭の中に、細かく複雑な面を数多く刻むことで、宝石のきらめきを最大限に引き出します。まるで星屑を散りばめたように、まばゆい光を放つのが特徴です。一方、アッシャーカットは、階段状のカットが宝石に落ち着きのある輝きを与えます。プリンセスカットの華やかさとは対照的に、深みのある重厚な輝きが魅力です。このように、正方形カットは時代と共に様々な形に変化し、それぞれに個性あふれる輝きを生み出してきました。その歴史を辿ることは、宝石の魅力を最大限に引き出そうとする職人たちのたゆまぬ努力と、技術の進歩を知る旅と言えるでしょう。現代では、宝石をより美しく見せるために、様々な工夫が凝らされています。光を取り込み、反射させることで、石本来の輝きを増幅させるのです。正方形カットは、まさにその結晶と言えるでしょう。古くから受け継がれてきた伝統と、現代の技術が見事に融合し、私たちの目を楽しませてくれています。