ポマンダー

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香りの玉、ポマンダー:歴史と魅力

ポマンダーとは、良い香りを閉じ込めた小さな入れ物のことです。紐や鎖を通して首飾り처럼身に着けたり、持ち歩いて香りを楽しむことができました。その名前の由来は、フランス語で「琥珀の蜜柑」という意味の言葉からきています。蜜柑のような丸い形をした入れ物に、琥珀のように美しい香料を詰めていた様子が想像できます。 ポマンダーが広く使われていたのは中世ヨーロッパです。当時、ペストという恐ろしい病気が流行していました。人々は、病気を運ぶ悪い空気、つまり瘴気から身を守るため、ポマンダーの香りを利用しました。また、旅をする際にも、道中の不快な臭いを避けるためにポマンダーは欠かせないものでした。現代のように清潔な環境が整っていなかった時代、良い香りは生活の質を向上させる貴重な手段だったのです。 ポマンダーの中身は、様々な香料を調合して作られました。代表的なものとしては、じゃ香、れい猫香、りゅうぜん香などがあります。これらは非常に高価で貴重なものでした。そのため、ポマンダーを持つことができるのは、裕福な貴族に限られていました。 ポマンダーは、17世紀頃まで人々に愛用されました。小さな入れ物の中に閉じ込められた香りは、身分を表す装飾品としての役割だけでなく、健康を守るため、生活を豊かにするための大切な役割も担っていました。現代の香水のように、香りを楽しむ文化は、ポマンダーという形で古くから人々の生活の中に根付いていたと言えるでしょう。