
失蝋鋳造:古代から現代まで
蝋を使った鋳造方法である失蝋鋳造法は、別名シレ・ペルデュとも呼ばれ、原型を蝋で作り、それを鋳型に埋め込んで金属の複製を作る方法です。 この方法は、古代から現代まで、世界中で広く使われてきました。その歴史は古く、紀元前4千年紀のメソポタミア文明まで遡るとされています。青銅器時代の人々は、既にこの高度な技術を活かして、精巧な装飾品や武器、祭祀に使う道具などを製作していました。現代でもこの方法は様々な分野で使われています。
失蝋鋳造法の工程は、まず蝋で原型を丁寧に作り込むことから始まります。この蝋の原型は最終的に金属に置き換わる部分であり、完成品の形状を決定づける重要な要素です。次に、この蝋の原型を耐火性の素材で覆って鋳型を作ります。鋳型が完成したら、鋳型を加熱して中の蝋を溶かし出します。これによって、蝋があった場所に空洞ができます。この空洞に溶かした金属を流し込み、冷やし固めることで、蝋の原型と全く同じ形の金属製品が出来上がります。
失蝋鋳造法は、他の鋳造方法に比べて精密な複製を作ることができるのが大きな特徴です。複雑な形状のものを高い精度で再現できるため、宝飾品の細かな模様や彫刻の繊細な表現を可能にします。また、歯科医療で歯の詰め物や入れ歯を作る際にも、この技術が役立っています。さらに、航空宇宙産業におけるエンジン部品などの製造にも応用されており、様々な分野で重要な役割を担っています。