
魅惑の石:シリシャスシスト
珪質片岩は、淡い桜色から濃い紅色まで、実に様々な色合いを見せてくれます。時にはベージュに近い色合いのものもあり、その色の幅広さがこの石の魅力と言えるでしょう。名前の通り、元となる岩石が押しつぶされて薄い層状に重なり合う片岩構造をしているため、色の濃淡が層になって現れ、それが独特の模様を作り出しています。この模様は、まるで自然が描いた絵画のように美しく、一つとして同じものがない個性を持っています。
中でも、濃い紅色のものは薔薇輝石(ロードナイト)と非常によく似ており、しばしば混同されることがあります。どちらも同じような鉱物で構成されているため、見た目も似通っているのも無理はありません。しかし、珪質片岩には特有の大理石模様が見られることが多く、これが薔薇輝石との見分けのポイントとなります。薔薇輝石は比較的均一な色合いで、模様が少ないのに対し、珪質片岩は色の濃い部分と薄い部分が層状に重なり、マーブル模様を形成しているのです。
ピンク色の珪質片岩は、特に「ローズ珪質片岩」とも呼ばれ、その美しい色合いから多くの人々を魅了しています。「ローズ」の名前の通り、薔薇の花びらのような柔らかな色合いは、見ているだけで心が安らぐような美しさです。また、色の濃淡によって様々な表情を見せるため、飽きることがありません。アクセサリーとして身に着けるのはもちろん、観賞用としても高い人気を誇っています。珪質片岩は、その多彩な色合いと模様が魅力の、自然の美しさを凝縮した石と言えるでしょう。