三斜晶系

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ブルー系

魅惑の石、トルコ石の世界

トルコ石は、人類がその歴史を刻み始めた頃から、人々を魅了してきた宝石です。その名の由来はトルコを経由してヨーロッパに持ち込まれたことにあります。しかし、トルコでは産出されず、主な産地は古代ペルシャでした。空を思わせる鮮やかな青色は、世界各地の古代文明において特別な存在として扱われました。紀元前5000年頃のエジプトでは、既にトルコ石が装飾品として用いられていました。かの有名なツタンカーメン王の黄金のマスクにも、ラピスラズリやカーネリアンとともにトルコ石が贅沢にあしらわれ、王の権威を高める役割を担っていたと考えられています。 古代ペルシャでは、災いから身を守る魔除けとして、トルコ石を身につける習慣がありました。空の色を映すこの石は、天の神の加護を象徴するものとして、人々に大切にされてきました。トルコ石のアクセサリーは、現代でも人気があり、その鮮やかな青色は、現代の装いにも自然と溶け込みます。 トルコ石は、銅やアルミニウムを含むリン酸塩鉱物の一種で、多孔質という特徴があります。そのため、水分や油分を吸収しやすく、色の変化や退色しやすいという側面もあります。汗や化粧品などに含まれる成分が付着すると変色することがありますので、使用後は柔らかい布で丁寧に拭き取るなど、適切な取り扱いが必要です。トルコ石は、適切に扱えばその美しさを長く保つことができます。時代を超えて愛されてきた空色の宝石は、これからも人々を魅了し続けることでしょう。
基準

宝石の結晶:6つの結晶系

物質を構成する原子や分子が、まるでレンガを積み重ねた壁のように、規則正しく三次元的に並んだ固体のことを結晶といいます。この規則正しい並び方こそが結晶の大きな特徴です。自然界には、さまざまな形の結晶が存在します。例えば、冬に空から舞い降りる雪の結晶は美しい六角形をしていますし、毎日の食事で使う塩の結晶は、サイコロのような立方体です。このように、結晶の形は物質の種類によって違いますが、その形は内部の原子や分子の並び方によって決まります。 結晶内部では、原子や分子が規則正しく繰り返し並んでおり、この繰り返しの最小単位を単位格子と呼びます。単位格子は結晶構造の基本単位であり、この単位格子が空間的に繰り返し並ぶことで結晶全体ができています。ちょうど、同じ模様のタイルを並べて床全体を敷き詰めるように、単位格子が規則正しく並ぶことで、大きな結晶が作られます。 結晶は、規則正しい原子配列のために、平らな面と鋭い角を持つ独特の形を示すことが多く、これが宝石のきらめきや美しさにもつながっています。ダイヤモンドやルビー、サファイアなど、美しく輝く宝石の多くは結晶構造を持っています。また、結晶は内部構造が均一であるため、光、電気、磁気などに関する性質において、方向によって異なる性質を示すことがあります。例えば、ある方向には電気をよく通すが、別の方向にはあまり通さない、といった現象が見られます。これらの性質は結晶の内部構造、つまり原子配列と深く関わっており、結晶の種類を見分ける重要な手がかりとなります。結晶の性質を詳しく調べることで、その物質が何でできているのか、どのような構造を持っているのかを理解することができます。