
アッシャーカットの魅力:希少な八角形ダイヤモンド
アッシャーカットは、西暦一千九百二年、二十世紀初頭に世に初めて姿を現した八角形のダイヤモンドの加工方法です。この時代は後に「華麗なるギャツビー」の時代として語り継がれる、優雅さと気品に満ちた時代であり、アッシャーカットはその時代の雰囲気をまさに体現していると言えます。最大の特徴は、鏡のような小さな面、すなわちファセットを五十八面も持っていることです。よく知られているブリリアントカットとは異なり、階段のようにカットを施すステップカットという技法を用いており、独特の角度を持つ角が組み合わさって美しい八角形を作り出しています。この八角形のフォルムと、多数のファセットが織りなす輝きは、まるで万華鏡を覗き込んでいるかのような、奥深く神秘的な印象を与えます。
アッシャーカットは、深い緑色の宝石で知られるエメラルドにも似た奥行きを感じさせるため、カットの深さを浅くすることで、実際の大きさよりも大きく見せることができます。石の選び方次第で、その魅力を最大限に引き出すことができるのです。アッシャーカットの美しさは、優美に先細りになった縁と、中心で輝く石から放たれる魅惑的な光にあります。この独特の輝きは、他のカットにはない特別な魅力と言えるでしょう。さらに、アッシャーカットは非常に希少価値が高く、全てのダイヤモンドの中で、このカットが施されているのはわずか二パーセント程度と言われています。まさに幻のダイヤモンドと呼ぶにふさわしい、特別な存在感を放つカットなのです。