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宝石の色と光の秘密

私たちは身の回りの様々なものを、それぞれ固有の色を持っているように感じています。しかし、物の色の見え方は、光と物体の相互作用、そして私たちの目の仕組みと脳の認識という複雑なプロセスを経て初めて成立するのです。太陽や電球といった光源から放たれる光は、一見すると無色透明に見えます。しかし、実際には虹色のように様々な色の光が混ざり合った状態です。透明な三角柱であるプリズムに光を通すと、光が七色に分かれて見える現象を経験したことがある方もいるでしょう。これは、光が様々な波長を持っていることを示す明確な証拠です。物体に光が当たると、物体はその表面で光の一部を吸収し、残りを反射します。どの波長の光を吸収し、どの波長の光を反射するかは、物体の性質によって決まります。この反射された光が私たちの目に届き、網膜にある視細胞によって感知されます。視細胞には、赤、緑、青の光にそれぞれ反応する3種類があり、これらの視細胞が受け取った光の情報を脳に伝達することで、私たちは色を認識するのです。例えば、赤い林檎の場合、林檎の表面は青や緑などの光を吸収し、赤い光を主に反射します。この反射された赤い光が目に入り、脳が「赤」と解釈することで、私たちは林檎を赤いと感じるのです。もし、全ての波長の光を反射する物体であれば、その物体は白く見えます。逆に、全ての波長の光を吸収する物体は黒く見えるのです。このように、光源の種類、物体の特性、そして私たちの視覚システムの連携によって、色の見え方が決まるのです。