
クンツァイト:愛の輝き
クンツァイトは宝石の中では比較的歴史が浅く、20世紀に入ってから発見された新しい宝石です。発見されたのは1902年、場所はアメリカのカリフォルニア州でした。その名の由来は、発見者である宝石学者、ジョージ・フレデリック・クンツ博士です。クンツ博士は当時、世界的に有名な宝飾店、ティファニー社の主席宝石鑑定士であり、副社長も務めた人物でした。
クンツァイトは、リチア輝石(スポデューメン)という鉱物の一種です。リチア輝石自体は様々な色合いを持ちますが、ピンク色や紫色のものを特にクンツァイトと呼びます。この美しい色彩は、マンガンという元素が微量に含まれているためです。マンガンは自然界では様々な酸化数で存在し、その酸化状態によって色が変化します。クンツァイトの場合は、マンガンが2価の状態になっているため、ピンク色や紫色に見えるのです。
クンツァイトには「カリフォルニア・アイリス」という別名もあります。これは、虹色の光彩効果(アイリス効果)を示すことに由来します。この光彩効果は、クンツァイトの内部構造に由来します。クンツァイトの結晶中には、微細な平行な板状の構造が存在しており、光がこの構造に当たると干渉を起こし、虹色の光彩となって見えるのです。
クンツァイトは、その淡く優しい色合いと、美しく輝く光彩効果で、多くの人々を魅了してきました。宝石界への貢献ももちろんのこと、そうした人々への影響も評価され、2021年には9月の誕生石として公式に認められました。クンツ博士の名前を冠したこの宝石は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。