楽器

記事数:(3)

その他

神秘の木材、シャム柿の魅力

シャム柿という名は、どこか異国情緒を感じさせ、タイ原産の柿の仲間を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際は柿とは全く関係のないムラサキ科の広葉樹です。主な産地は中南米のメキシコやグアテマラといった地域で、タイとは全く異なる環境で育ちます。では、なぜ「シャム柿」と呼ばれるようになったのでしょうか?その由来は、木材輸入業者が日本に流通させる際に名付けたという、少し変わった経緯にあります。タイの古名である「シャム」という響きと、柿の木のような美しい木目が結びつき、「シャム柿」という商品名が生まれたと言われています。近年では、英語名である「ジリコテ」も知られるようになってきましたが、日本では現在も「シャム柿」という名前が広く使われています。その神秘的な響きが、この木材の魅力をさらに引き立てているのかもしれません。 木材としてのシャム柿は、堅牢で耐久性が高いという特徴があります。緻密で重厚な木質は、高級家具や仏具の材料として古くから珍重されてきました。特に、黒に近い濃い茶色と明るい茶色の縞模様が織りなす美しい木目は、見る者を惹きつけ、独特の存在感を放ちます。加えて、近年ではギターの材料としても高い人気を誇っています。シャム柿で作られたギターは、明るく澄んだ音色と豊かな倍音が特徴で、多くの音楽家を魅了しています。希少価値が高く、加工が難しい木材であるため、シャム柿で作られた楽器は高価なものとなりますが、その音色と美しさは、まさに唯一無二と言えるでしょう。このように、シャム柿は、家具、仏具、楽器など、様々な分野でその魅力を発揮し続けている、貴重な木材と言えるでしょう。
ブラック系

神秘の音色、サヌカイト:歴史と魅力

サヌカイトは、黒色で硬く緻密な見た目を持つ火山岩の一種、安山岩です。その産地は香川県の讃岐地方を中心とした限られた地域に限られ、世界的に見ても珍しい貴重な石です。まるで黒曜石のように鋭く割れる性質を持ち、その断面は貝殻状の模様を描きます。この石の起源は、今から約千五百万年前の新生代第三紀にさかのぼります。瀬戸内火山帯の活動によって生まれた溶岩が冷え固まり、サヌカイトが形成されました。古来より人々はこの石の鋭い割れ目を利用し、石器や刃物として生活に役立ててきました。 サヌカイトという名は、明治時代に日本各地の地質を調査したドイツの地質学者、ナウマン博士に由来します。博士が香川県で採取したこの石を、知人のバインシェンク氏が研究し、讃岐地方の古い呼び名である「サヌキ」にちなんで「Sanukite(サヌキット)」と命名しました。その後、この英語読みである「サヌカイト」という名前が定着し、現在に至ります。 サヌカイトは石器以外にも、独特の音色を奏でる楽器としても利用されてきました。石を叩くと、まるで金属を叩いたかのような高く澄んだ音が響きます。その音色は「カンカン石」という別名にも表れています。近年では、その音色の美しさから、楽器やオブジェとして注目を集め、様々な形で人々の生活に彩りを添えています。歴史と文化、そして自然の神秘が凝縮されたサヌカイトは、まさに讃岐地方の宝と言えるでしょう。
ブラウン系

紫檀:気品漂う銘木の世界

紫檀とは、ツルサイカチ属を中心とした幾つかの種類の樹木から得られる、銘木の総称です。赤みを帯びた茶色から紫がかった茶色といった、他に類を見ない独特の色合いと、美しい木目が大きな特徴です。木材を切断した直後は、バラのような甘い香りを漂わせるものもあり、このことから英語では「ローズウッド」と呼ばれています。黒檀と同じように、丁寧に磨くことで光沢が増し、奥深い輝きを放つようになります。 紫檀は大変硬い木材であるため、乾燥させるのも加工するのも、高い技術と手間がかかります。長い時間をかけてじっくりと乾燥させなければ、ひび割れなどが発生しやすいため、熟練の職人の技が不可欠です。また、その硬さゆえに加工にも高度な技術が必要とされますが、緻密で美しい細工を施すことが可能です。 こうした手間を惜しまず加工された紫檀は、非常に高い耐久性を誇ります。一度製品になると、長きにわたってその美しさを保ち続けることができるのです。古くから高級家具や仏具、楽器、工芸品などに用いられてきた歴史があり、現在でもその価値は高く評価されています。希少性も高く、世界的に銘木として珍重されています。紫檀で作られた品は、その美しい見た目と耐久性から、世代を超えて受け継がれる宝物となるでしょう。