
宇宙の記憶、コンドライト
宇宙の無限の闇に浮かぶ、無数の塵やガス。それらは重力によって引き寄せられ、ゆっくりと渦を巻き始めました。やがて、その中心に巨大な塊が形成され、原始太陽が誕生しました。今からおよそ46億年前、私たちの太陽系はこのようにして産声を上げたのです。その誕生の瞬間、高温のガスや塵は激しく衝突し、溶けては固まることを繰り返しました。そして、太陽の周りを漂う塵は、小さな球状の粒へと姿を変えました。これが「コンドリュール」と呼ばれるものです。まるで、宇宙の飴玉のように、丸く可愛らしい形をしています。
このコンドリュールは、その後も周りの塵やガスと合体し続け、より大きな塊へと成長していきました。そして、ついに小惑星と呼ばれる天体へと進化したのです。この小惑星の一部が、地球に隕石として降り注ぐことがあります。その中でも、コンドリュールを含む隕石は「コンドライト」と呼ばれ、太陽系誕生当時の情報をそのまま閉じ込めたタイムカプセルのような存在なのです。
一見するとただの石ころにしか見えないコンドライトですが、その中には太陽系誕生の秘密が隠されています。私たちが手に取るこの石は、46億年前の宇宙空間に漂っていた塵が集まってできたもの。それは、私たち自身の起源を知るための、かけがえのない手がかりなのです。コンドライトを研究することで、太陽系がどのように誕生し、進化してきたのかを解き明かすことができるかもしれません。そして、それは生命の起源を探る旅にもつながっていくのです。まさに、小さな石ころの中に、壮大な宇宙の歴史が刻まれていると言えるでしょう。