
天照石:神秘の石の力
宮崎県高千穂の霊峰々が連なる奥深い地に、日之影町があります。そこは、天孫降臨の神話が語り継がれる聖地であり、特別な石が眠る場所でもあります。その石の名は、天照石。太陽神の名を冠したこの石は、正式には見立礫岩と呼ばれ、他に類を見ない独特の表情を持っています。
天照石は、様々な色の小石が寄り集まってできています。黒曜石のように深い黒、雪のように純粋な白、空気を含んだような灰色、大地を思わせる灰褐色、木々の緑を映したような暗緑色など、多彩な小石が織りなす模様は、まさに自然の芸術品です。一つとして同じ模様はなく、それぞれが悠久の時を経て生まれた唯一無二の存在感を放っています。
この美しい模様は、太古の火山活動によって生まれました。噴火によって噴出した様々な種類の岩石が、長い年月をかけて水の流れによって削られ、丸みを帯びた小石となり、再び堆積して固まったことで、現在の天照石が形成されたのです。
天照石が採掘される日之影町は、天と地のパワーが集中する場所だと信じられています。天孫降臨の神話が残るこの地で生まれた天照石には、天と地のエネルギーが宿っているとされ、古くから地元の人々に崇められてきました。心身を癒し、活力を与える不思議な力があると伝えられ、お守りとして身に着けたり、家に飾ったりする風習が今も残っています。
天照石は、地球の歴史と神話のロマンが織り交ざった神秘的な石です。その美しい模様を眺め、手に取ると、悠久の時を感じ、自然の偉大さに心を打たれることでしょう。