Koss処理

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技術

宝石の処理:コス処理とは?

宝石をより美しく見せるための様々な工夫は、古くから行われてきました。その中でも、コス処理は宝石、とりわけ内側にひび割れ(業界用語で「クリベージ」と呼ばれます)を持つ宝石の見た目を良くする処理方法として知られています。この処理は、コス社という会社が開発したことから、その名が付けられました。 コス処理には大きく分けて二つの方法があります。一つは、ひび割れに別の物質を染み込ませる方法です。これは、宝石の中にできた小さな割れ目に、光を屈折させる性質を持つ液体を注入することで、透明感を高め、キラキラと輝くように見せる技術です。まるで、傷を隠すかのように、ひび割れを目立たなくすることで、宝石本来の美しさを引き出します。もう一つは、電子線を当てる方法です。これは、宝石に電子線を照射することで、色の濃さを変えたり、新しい色を作り出したりする技術です。自然界では作り出せないような鮮やかな色合いを生み出すことも可能で、宝石の魅力を一層引き立てます。 しかし、コス処理には注意点もあります。処理によって宝石の見た目は美しくなりますが、本来の性質や耐久性に影響を与える可能性があることを理解しておく必要があります。例えば、処理された宝石は、未処理の宝石に比べて熱や衝撃に弱くなる場合があります。また、薬品や洗浄液によっては、変色したり、劣化したりする可能性もあります。そのため、コス処理された宝石は、丁寧な扱いが必要です。 さらに、コス処理の有無は宝石の価格にも大きく影響します。一般的に、未処理の宝石の方が価値が高いとされています。宝石を購入する際は、処理の有無を必ず確認し、その上で価格を判断することが大切です。宝石の輝きに魅了されるだけでなく、その背景にある処理についても理解することで、より賢く宝石を選ぶことができるでしょう。